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外科治療
放射線療法
化学療法
第一三共株式会社「【エンハーツ】HER2陽性早期乳がんの残存病変に対するトラスツズマブ デルクステカン:国際共同第III相試験 DESTINY-Breast05」
T-DXd
トラスツズマブ デルクステカン(Trastuzumab Deruxtecan、販売名:エンハーツ、製造会社:第一三共)。HER2を発現するがん細胞に結合して細胞内に取り込まれると、DXdが遊離します。DXdはトポイソメラーゼIを阻害してDNAに障害を与え、がん細胞を死滅させます。
T-DM1
トラスツズマブ エムタンシン(Trastuzumab Emtansine、販売名:カドサイラ、製造会社:中外製薬)。結合している薬物がDM1(エムタンシン)です。DM1は微小管の働きを阻害する薬物で、HER2を利用してがん細胞内へ運ばれた後、細胞分裂を妨げることで抗腫瘍作用を示します。
トラスツズマブ
がん細胞の表面にあるHER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)を標的とするヒト化モノクローナル抗体です。抗体は、特定の物質(抗原)を認識して結合するタンパク質です。モノクローナル抗体は、基本的に1種類の標的(抗原上の特定部位)を認識する、均一な抗体です。抗体のうち標的を認識するために特に重要な部分を残しながら、それ以外の大部分をヒト抗体由来の構造に置き換えるのが「ヒト化」です。
HER2陽性乳がん
がん細胞の表面にHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)というタンパク質が過剰に発現している、またはHER2遺伝子が増幅している乳がんです。HER2は、細胞の増殖や生存に関係する受容体です。HER2が過剰に働くと、細胞増殖を促すシグナルが強くなり、がん細胞が増殖しやすくなります。DESTINY-Breast05 試験では、中央検査機関により、IHCスコア3+、またはISH陽性であることをHER2陽性の基準としています。HER2陽性乳がんでは、HER2を標的とした治療薬を使用できます。
遠隔再発
治療した乳がんが、もともと発生した乳房やその周辺ではなく、離れた臓器や組織に転移した状態で再び見つかること。例えば、乳がんの手術などの治療後に、骨、肺、肝臓、脳などの離れた部位に転移が確認された場合が遠隔再発にあたります。
初回の浸潤性疾患イベント
患者を追跡している間に、あらかじめ定められた「浸潤性疾患イベント」のうち、最初に発生したイベントです。DESTINY-Breast05 試験では、同側の局所浸潤性乳がんの再発、遠隔再発、対側の浸潤性乳がん、死亡などが定められています。浸潤性(invasive)とは、がん細胞が発生した場所にとどまらず、周囲の組織に入り込んで広がる性質のことです。
ウイルス療法
オンコリスバイオファーマ株式会社「標準治療が難しい食道がん患者を対象とした、放射線療法と併用する OBP-301(テロメライシン)の内視鏡的腫瘍内投与による第I相臨床試験」
第一三共株式会社「【デリタクト】残存・再発性膠芽腫に対する腫瘍内投与による腫瘍溶解性ヘルペスウイルスG47∆:第II相臨床試験」
メラノーマ
悪性黒色腫。皮膚がんの一種
奏功、局所奏効
奏効(そうこう): 治療によって病気、特に腫瘍(がん)が小さくなるなど、効果が認められたこと
局所奏効(きょくしょそうこう): その効果が治療した部位(局所)で認められたこと
Original Research(原著論文)
著者自身が新たに実施した研究で、新しいデータや解析結果を報告する論文
Sensitization to radiotherapy、Sensitization to virotherapy
放射線療法への感受性増強。ウイルス療法への感受性増強
がん細胞が放射線(ウイルス)に弱くなり、放射線(ウイルス)治療の効果が高まる
Viral replication
ウイルス複製
Cohort(コホート)
患者群、集団。共通する特徴を持つ患者や被験者の集団
response episode、metastasis、decripitude
反応エピソード(治療効果が認められた期間・事例)。転移。老衰
Titer(virus particles: vp/mL)
ウイルス力価(りきか)。1mL あたりのウイルス粒子数
Neutralization titer
中和抗体価。ウイルスの感染性をどの程度中和できるかを示す抗体の強さ・濃度の指標
Lymphocyte
リンパ球。白血球の一種で、免疫に関わる細胞。代表的には T細胞、B細胞、NK細胞 などがある
Endoscopic
内視鏡的
血漿(Plasma)またはヒト血漿(Human Plasma)
血液から血球(赤血球・白血球・血小板)を除いた液体成分
プライマー(Primers)
DNAを増やしたり検出したりするときに使う、短いDNA断片。OBP-301 DNA を検出・定量するために使う短いDNA配列。ヒト血漿中にOBP-301由来のDNAがあるか、どれくらいあるかを調べるための目印
血清(Serum)
血液を固まらせた後に残る透明〜淡黄色の、上澄みの液体成分。凝固因子をほとんど含まない(⇔血漿)。抗体、サイトカイン、ホルモン、タンパク質、ウイルスに対する中和抗体価などを測定する
IDH1 wt、IDH1 mt(isocitrate dehydrogenase 1、wild type、mutated type)
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1 は、細胞のエネルギー代謝に関係する酵素を作る遺伝子です。脳腫瘍では、IDH1 に変異があるかどうかが、腫瘍の性質や予後を考えるうえで重要な分子学的指標となります。wt = wild type(野生型)で、IDH1 遺伝子に対象となる変異が認められないタイプです。mt = mutated type(変異型)で、IDH1 遺伝子に変異が認められるタイプです。野生型(高齢者に多い)と変異型(若年者に多い)では、脳腫瘍の成り立ちや性質が異なります。
Coronal、Sagittal、Axial
冠状断像、矢状断像、横断像
インフォームドコンセント(informed consent)
患者や臨床試験の参加者が、医師・研究者から治療や試験について十分な説明を受け、その内容を理解したうえで、自らの意思で治療や試験への参加に同意すること。日本語では一般に「説明と同意」と訳される
MGMT発現
MGMT は O6-methylguanine-DNA methyltransferase(O6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ) の略で、DNAに生じた特定の損傷を修復する働きを持つタンパク質。膠芽腫(こうがしゅ)では、MGMT は特にテモゾロミド(TMZ)などのアルキル化剤への反応性と関係する。MGMT の発現が高い腫瘍では、テモゾロミドによって生じたDNA損傷を MGMT が修復するため、テモゾロミドが効きにくくなる傾向がある。逆に MGMT の働きが低い腫瘍ではDNA損傷が修復されにくく、一般にテモゾロミドの効果が得られやすい
コルチコステロイド(corticosteroid)
脳腫瘍の患者では、腫瘍や治療によって脳に炎症や浮腫(むくみ)が生じることがあります。コルチコステロイドには強い抗炎症作用があるため、脳浮腫を軽減し、それに伴う頭痛や神経症状などを改善する目的で使用されます。医療では特に、炎症や免疫反応を抑える作用を持つ「糖質コルチコイド(グルココルチコイド)」を指します。日本では一般に「ステロイド」と呼ばれます。代表的な薬剤にはデキサメタゾンなどがあります。
計画MRI(Planning MRI)
治療や手術を行う前に、どの位置を治療対象とし、どの経路から治療するかを計画するために使用するMRI画像
HSV-1
HSV-1(Herpes Simplex Virus type 1:単純ヘルペスウイルス1型)は、ヒトに感染するヘルペスウイルスの一種。HSV-1 がG47Δの元となったウイルス
StealthStation(ステルスステーション)外科ナビゲーションシステム
メドトロニック社の外科手術用ナビゲーションシステム。脳神経外科などの手術で、MRIやCT画像を利用して、手術器具が患者の体内のどこにあるかをリアルタイムに確認するための手術支援システム
免疫療法
ブライトパス・バイオ株式会社「再発・進行頭頸部がんにおける他家iPSC由来iNKT細胞:第1相臨床試験」
小野薬品工業株式会社「【オプジーボ】 切除可能非小細胞肺がんでの術前化学療法にニボルマブを追加する:CheckMate 816 試験」
小野薬品工業株式会社「【オプジーボ】 肺がんに対するニボルマブと化学療法の術前併用療法における全生存率」
小野薬品工業株式会社「【オプジーボ単剤】進行性扁平上皮非小細胞肺癌におけるニボルマブとドセタキセルの比較」
NKT細胞
T細胞とNK細胞の中間的な特徴を持つ、強力な免疫細胞。「異常な細胞」を見つける能力と、「免疫全体を活性化する能力」の両方を持っている。がん細胞を攻撃できる。iNKT細胞:invariant NKT cell 不変型
コンソート図
「臨床試験を適切・透明に報告するための国際的ガイドライン」の図
Screened (n = 16)、Registered (n = 12)
試験参加条件を満たすか確認した人数、実際に試験へ登録された人数
First dose infusion (n = 3)、Second dose infusion (n = 7)
初回投与、2回目投与
IL-6、IL-8
インターロイキンと呼ばれる免疫や炎症に関わる情報伝達物質(サイトカイン)。IL-6:高すぎない方が良い、IL-8:適度な上昇が修復となる
ドナー特異的抗体
ドナー(提供者)(ここでは他家iPS細胞)の細胞・組織に対して作る抗体
HLAアレル出現率
「自家」と「他家」を判別する仕組み
Pharmacokinetics
薬物動態。iPS細胞が体内でどのように分布しているか
PD: progressive disease
進行性疾患。病気が進行している状態
PD-1陽性細胞
がん細胞は、PD-L1という分子を使って免疫細胞の働きを抑える。T細胞やNK細胞が発現するPD-1と、がん細胞のPD-L1が結合することで、これらの細胞の攻撃力が低下し、免疫が抑制される。図は、「T細胞やNK細胞が活性化された結果としてPD-1が増えた」
ポート法、セルジンガー法
体内に「ポート(薬剤投与口)」を埋め込み、そこから薬剤を投与する方法。長期投与システム
血管へ安全にカテーテルを入れるための基本手技
オプジーボ、ヤーボイ
免疫チェックポイント阻害薬(Immune Checkpoint Inhibitor)。患者自身の免疫力を回復させてがんを攻撃する。通常、T細胞の PD-1 とがん細胞の PD-L1 が結合すると、T細胞はがん細胞への攻撃を停止する。オプジーボは PD-1 をブロックすることで、T細胞ががん細胞を攻撃し続けられるようにする
Opdivo:T細胞表面の PD-1 を阻害する
Yervoy:T細胞表面の CTLA-4 を阻害する
iPS-NKT細胞の PD-1 を CRISPR-Cas9 で遺伝子操作し、がん細胞の PD-L1 と結合しないようにすることは可能。ただし、PD-1 は免疫の暴走を防ぐ仕組みでもあるため、「抗腫瘍効果の向上」と「安全性」のバランスを取ることが課題。もともと、iPS-NKT細胞は、がん細胞などの CD1d が提示する脂質の目印を認識して活性化し、がん細胞を攻撃する。
CD1d
↓
NKT活性化
↓
がん攻撃
├─ がん消失
└─ がんが免疫逃避
↓
PD-L1発現
↓
NKT抑制
CD1d
CD1d(Cluster of Differentiation 1d)は、細胞表面に存在し、脂質抗原を免疫細胞に提示する分子。大まかな流れは、がん細胞・抗原提示細胞のCD1d → 脂質抗原を提示 → NKT細胞のT細胞受容体(TCR)が認識 → NKT細胞が活性化 → 抗腫瘍免疫、となる
PD-1陽性細胞
がん細胞は、PD-L1という分子を使って免疫細胞の働きを抑える。T細胞やNK細胞が発現するPD-1と、がん細胞のPD-L1が結合することで、これらの細胞の攻撃力が低下し、免疫が抑制される。蛍光マーカーを用いてPD-1陽性細胞を観察: T細胞やNK細胞が活性化されると、結果としてPD-1が増える
Chemotherapy
化学療法
Q3W
3週間に1回投与
CONSORT フローチャート
「臨床試験を適切・透明に報告するための国際的ガイドライン」のフローチャート
Tumor Histology(腫瘍組織学)
腫瘍の組織を顕微鏡などで観察し、その細胞や組織の特徴を調べること。squamous tumor histology:扁平上皮がんの組織像
Eastern Cooperative Oncology Group(米国東部腫瘍学共同研究グループ)
ECOG PS:全身状態・活動度の指標。がん患者が日常生活をどの程度行えるかを0~5の段階で評価
Circulating Tumor DNA Clearance(血中循環腫瘍DNAの消失)
ctDNA:がん細胞から血液中に放出されたDNA断片。治療効果を評価するバイオマーカー
プラチナ製剤
白金(プラチナ:platinum)を含む抗がん剤の総称。代表的な薬剤には、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)がある。プラチナ製剤は、がん細胞のDNAに結合してDNAの構造を損傷させる
レジメン(regimen)
治療に使用する薬剤の種類、投与量、投与方法、投与する順序や間隔などを定めた治療計画。治療法はより広い言葉ですが、レジメンは具体的な治療計画を指す
OS(Overall Survival)
全生存期間。Overall Survival (%) は全生存率(%)
RECIST v1.1
がんの臨床試験などで、治療によって腫瘍がどの程度小さくなったか、増大したかを客観的に評価するための国際的な基準。主な判定は次の4種類です:CR(Complete Response、完全奏効)、PR(Partial Response、部分奏効)、SD(Stable Disease、安定)、PD(Progressive Disease、進行)
RECIST v1.1 のCR(完全奏効)は、主にCTなどの画像による評価です。病理学的完全奏効(pCR)は、手術で切除した組織などを顕微鏡で調べて、生存しているがん細胞が認められないことを評価します。
カプラン・マイヤー曲線
一般的な全生存期間(OS)のカプラン・マイヤー曲線では、
・横軸:治療開始からの時間(月、年など)
・縦軸:生存している患者の割合(%)
・曲線が下がるところ:患者の死亡が発生した時点
・No. at risk:各時点で、まだ死亡しておらず、かつ追跡中である患者の数(リスク集合人数)
を表します。例えば、12か月のところで曲線が「70%」なら、「12か月時点の推定生存率は70%」という意味です。
Progression-free Survival(無増悪生存期間、PFS)
治療開始などの基準時点から、がんが進行(増悪)するか、死亡するまでの期間。「Progression」とは、腫瘍が一定以上大きくなる、新しい腫瘍・転移が確認される、など、あらかじめ定められた基準でがんが進行したと判定されること
サンキー図
ある集団や数量が、どこからどこへ、どのように移っていったかを「流れ」として表す図。人数や量の移り変わりを、太さの異なる流れで表した図
追跡期間中央値68.4ヵ月において、5年全生存率は...
例えば、追跡期間を短い順に並べたとき、
20ヵ月、40ヵ月、68.4ヵ月、72ヵ月、80ヵ月
のようになっていれば、中央に位置する「68.4ヵ月」が中央値です。
患者を中央値で約5年8ヵ月追跡した結果、治療開始から5年後にどのくらいの患者が生存していたか
悪心(Nausea)
嘔吐、吐き気
病理学的完全奏効(Pathological Complete Response、Complete Response:CR)
検査で確認できる腫瘍がすべて消失した状態
死亡のハザード比 0.72(95% 信頼区間 0.523~0.998、P=0.048)
臨床試験で2つの治療群の死亡の起こりやすさを時間経過も考慮して比較した結果。
ニボルマブ+化学療法群を化学療法単独群と比較した場合、
・ハザード比 0.72:ニボルマブ+化学療法群の死亡ハザード(ある時点まで生存している人が、その直後に死亡する起こりやすさ)は、化学療法単独群の0.72倍でした。言い換えると、観察期間を通じた死亡のハザードが約28%低かったことを示します(1 − 0.72 = 0.28)。
・95%信頼区間 0.523~0.998:推定されたハザード比には不確実性があり、その範囲を示しています。重要なのは、死亡について「差がない」ことを表すハザード比 1.0を、この95%信頼区間がわずかに下回っていることです。
・P=0.048:通常用いられる有意水準0.05をわずかに下回っています。そのため、一般的な基準では統計学的に有意な差が認められたと判断されます。ただし0.048は0.05にかなり近く、95%信頼区間の上限も0.998と1.0に非常に近いため、統計学的な証拠は境界的です。P値だけでなく信頼区間や効果量も合わせて見ることが重要です。
ドセタキセル
イチイ科の植物成分を原料として半合成された化合物。細胞が分裂する際に必要な細胞構成成分の一つである微小管を安定化および過剰発現させることにより、がん細胞の増殖を阻害する。この薬の投与の副作用として、手足のむくみや胸やお腹への水分貯留が報告されている
予防ワクチン
クリーブランド・クリニック「自己免疫を介した乳がん予防ワクチン接種法」
ウィーン医科大学「女性における感染および上皮内腫瘍を予防する9価HPVワクチン」
ヘルシンキ大学産婦人科「発がん性HPV型による子宮頸部感染および前がん病変に対するHPV16/18型ワクチンの有効性:PATRICIA試験」
α-ラクトアルブミン
主に哺乳類の乳腺で作られるタンパク質で、母乳や牛乳などに含まれる乳清(ホエイ)タンパク質の一種。乳がんの予防ワクチン研究では、免疫系に認識させる標的抗原として注目されている。正常な乳腺では主に授乳期に発現する一方、一部の乳がん細胞でも発現するため。特に、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の約70%で発現すると報告されている。授乳期には必要だが、それ以外の時期には正常な乳腺でほとんど発現しないタンパク質を、乳がん予防の標的として利用する
MMTV-neu マウス
マウス乳腺腫瘍ウイルス(Mouse Mammary Tumor Virus)。乳腺で発がんに関係する neu 遺伝子が過剰に発現するように作られており、加齢とともに乳腺に腫瘍(乳がん)が自然発生する特徴がある。neu原がん遺伝子:ヒト乳がんで重要なHER2(ERBB2)に対応する遺伝子。HER2 / neu の働きが強くなると、細胞増殖を促すシグナルが活性化し、乳腺腫瘍の形成につながる
MMTV-PyVT マウス
Polyomavirus middle T antigen(ポリオーマウイルス中間T抗原)。MMTV-PyVT マウスでは、MMTV由来の遺伝子発現調節領域を利用して、乳腺でポリオーマウイルスの中間T抗原を発現させる。この中間T抗原は、細胞増殖や生存に関係するシグナル伝達を異常に活性化し、乳腺腫瘍の形成を引き起こす。乳腺腫瘍が比較的早期に発生する。複数の乳腺に腫瘍が形成される。肺への転移が起こりやすい。乳がんの進行過程を観察できる
フローサイトメトリー解析
細胞にある特定のタンパク質などを検出し、その発現量や、特定の特徴を持つ細胞の割合を調べる実験方法
ウェスタンブロット解析
細胞や組織の中にある特定のタンパク質を検出し、その量や大きさを調べる実験方法
再刺激応答(restimulation response)
免疫細胞が一度認識した抗原に再び接触したときに起こす免疫応答。1. 初回刺激(Priming):T細胞が抗原を認識し、活性化される(感作される)。2. 再刺激(Restimulation):感作されたT細胞が、同じ抗原に再び接触する。3. 再刺激応答:T細胞が再び活性化され、増殖やサイトカイン産生などの反応を示す
LNCs、CD3、CD3+、CD4、CD8、CD44、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10
リアルタイムRT-PCR解析
細胞や組織の中にある特定のRNAをDNAに変換して増幅し、その量を測定することで、遺伝子の発現量を調べる実験方法
BALB/c マウス
医学・生物学の研究で広く使用されている近交系の実験用マウス。同じ系統内で遺伝的なばらつきが小さい。近交系マウス:兄妹交配などを20世代以上繰り返すことで、遺伝的にほぼ均一になったマウス。個体間の遺伝的な違いが小さいため、薬剤やワクチンの効果を比較する実験に適している
CFA(完全フロイントアジュバント)
ワクチンなどに含まれる抗原に対する免疫反応を強めるために使用される免疫増強剤(アジュバント)。不活化した抗酸菌が含まれていることがCFAの重要な特徴です。CFAは強い炎症を引き起こすことがあり、注射部位の腫れ、肉芽腫、潰瘍などの原因になります。そのため、動物福祉上の制約があり、一般的なヒト用ワクチンには使用されません。⇔ IFA(不完全フロイントアジュバント)
OVA(Ovalbumin、オボアルブミン、卵白アルブミン)
オボアルブミンは鶏卵の卵白に含まれる主要なタンパク質で、免疫学の研究では、免疫応答を調べるための対照抗原として広く使用されています。対照抗原:α-ラクトアルブミンとは異なるタンパク質を用いた場合の反応を確認します
感作(primed)
免疫学において、免疫細胞が抗原に初めて接触し、その抗原に対して免疫応答を起こせる状態になること。免疫細胞がα-ラクトアルブミンを抗原として認識する → 抗原に反応するT細胞が活性化され、増殖する → その後、同じ抗原を発現する細胞に対して免疫応答を起こせるようになる
ヒトパピローマウイルス(HPV、human papillomavirus)
主に皮膚や粘膜の細胞に感染するDNAウイルスです。HPVには200種類以上の型が知られており、その一部は子宮頸がんの主な原因となります。特にHPV16型と18型は、世界全体で子宮頸がんの約70%に関係しています。HPVは、主に性的接触によって皮膚や粘膜から感染します。高リスク型HPVが長期間感染し続けると、ウイルスが作るE6とE7というタンパク質が、正常な細胞の増殖を制御する仕組みを妨げることがあります。
qHPV
4価HPVワクチン。HPV-6、11、16、および18に対する抗体反応を誘導する。4種類のHPVのL1タンパク質から作られたウイルス様粒子(VLP)を抗原として使用。感染性のあるウイルスそのものは含まれていない
9vHPV
9価HPVワクチン。HPV-31、33、45、52、および58に関連する感染および疾患を予防し、HPV-6、11、16、および18に対する抗体反応を誘導する
修正ITT集団(modified intention-to-treat population)
臨床試験で無作為に割り付けられた患者のうち、あらかじめ定めた条件を満たす患者を対象とする解析集団のこと。通常のITT集団(Intention-to-Treat population:治療意図に基づく解析集団、無作為化された患者)を、一部の条件によって修正したもの
パップテスト(Pap tests)
子宮頸部から細胞を採取し、顕微鏡で異常な細胞がないかを調べる検査。日本語では、一般に「子宮頸部細胞診」と呼ばれる。「パパニコロウ検査(Papanicolaou test)」とも言う
ATP-E(According-to-Protocol Cohort for Efficacy、プロトコル準拠有効性評価コホート)
試験計画を遵守し、有効性評価の条件を満たした参加者
TVC-E(Total Vaccinated Cohort for Efficacy、有効性評価のための全ワクチン接種コホート)
少なくとも1回接種し、開始時の細胞診が正常または軽度異常で、有効性評価が可能な参加者
TVC(全ワクチン接種コホート)
少なくとも1回接種し、有効性評価が可能な参加者。開始時の細胞診異常の程度による制限がTVC-Eより少ない

子宮頸部の前がん病変
CIN2+:中等度以上の病変を広く評価する指標
CIN3+:子宮頸がんに進行する危険性がより高い病変を中心に評価する指標
上皮内腺がん(AIS):子宮頸部の腺細胞に発生したがんで、周囲の組織にはまだ浸潤していない病変。AISは腺細胞由来の病変であり、CIN2・CIN3とは異なる
浸潤がん:がん細胞が上皮の基底膜を越えて、周囲の組織に広がった状態
発がん要因
ヒューブレヒト研究所「遺伝毒性を有する pks+ E. coli によって引き起こされる大腸がんにおける特徴的な遺伝子変異パターン」
東京大学大学院医学系研究科「ピロリ菌の CagA は BRCA 様性をもたらし、細菌性胃がんの発生原因となり得るゲノム不安定性を引き起こす」
E. coli
大腸菌(Escherichia coli)。pks+E. coli:pks陽性大腸菌
病原性アイランド(pks)
細菌の染色体上に存在し、病原性などに関係する複数の遺伝子がまとまって存在する領域
コリバクチン
pksアイランドを持つ大腸菌などによって生成される、遺伝毒性(genotoxicity:DNAを傷つける性質)を持つ化学物質
変異シグネチャー
特徴的な遺伝子変異パターン
CRC生検検体、生検(biopsy)
大腸がん(CRC)の病変から、生検によって採取した組織の検体
病変の一部を採取し、顕微鏡による病理組織学的検査や遺伝子解析などを行うこと
pksΔclbQ
pksアイランドを持つ大腸菌について、clbQ遺伝子を欠失(Δ)させた変異株を表す表記。ClbQ は、コリバクチンの生合成に関係するチオエステラーゼ(thioesterase)です。clbQを欠失させると、正常なコリバクチン生合成が大きく損なわれます。
pks+ E. coli → コリバクチンを正常に作れる
pksΔclbQ E. coli → clbQを欠失させ、コリバクチンの生合成能力を低下・消失させた株
ゲノム
ある生物が持っている遺伝情報の全体
シーケンシング
DNAを構成する A、T、G、Cの塩基配列を読み取ること
標準的なヒトゲノム配列 GRCh38(Genome Reference Consortium Human Build 38)
GRCh38とは、ヒトのDNA配列を解析するときに「基準」として使われるヒト参照ゲノム(human reference genome)の代表的なバージョンです。例えば、ある患者のDNAをシーケンシングすると、大量の短いDNA配列(リード)が得られます。しかし、それだけでは「この配列が何番染色体のどの位置にあるのか」が分かりません。そこでGRCh38を基準として、以下の解析を行います。
患者のDNA配列(リード)
↓
GRCh38の対応する位置に並べる(アラインメント)
↓
GRCh38と患者のDNA配列の違いを調べる
↓
遺伝子変異を見つける
がん関連遺伝子
遺伝子の変異や働きの異常によって、正常な細胞ががん細胞になる過程に関係する遺伝子の総称です。
1. がん遺伝子(oncogene)
本来は細胞の増殖などを調節している遺伝子ですが、変異などによって過剰に働くと、細胞が増殖し続ける原因になります。代表例には KRAS、BRAF、EGFR、MYC などがあります。正常な状態の遺伝子は「プロトオンコジーン(がん原遺伝子)」と呼ばれます。
2. がん抑制遺伝子(tumor suppressor gene)
細胞が必要以上に増殖するのを抑えたり、異常な細胞を排除したりする、いわば細胞の「ブレーキ」です。変異などによって機能を失うと、がん化しやすくなります。代表例には TP53、APC、RB1、PTEN などがあります。
3. DNA修復遺伝子
DNAに生じた損傷や複製時の間違いを修復します。この機能が低下すると遺伝子変異が蓄積し、がんが発生しやすくなります。代表例には BRCA1、BRCA2、MLH1、MSH2 などがあります。
DNA損傷 → DNA修復が不十分(ピロリ菌のCagAがBRCA様性を誘導し修復を妨げる) → がん関連遺伝子などに変異が蓄積 → 細胞増殖の制御が崩れる → がん
CagA
ピロリ菌の一部の菌株が持つ、病原性に関係するタンパク質。ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると、IV型分泌装置という仕組みを使って CagA を胃上皮細胞の中へ送り込みます。細胞内に入った CagA は、細胞内のさまざまなシグナル伝達に影響を与え、細胞の増殖、接着、極性などを変化させます。
ドライバー変異
がん細胞には多くの遺伝子変異が見つかるが、そのうち、細胞の異常な増殖や生存を促し、がん化を進める変異
パッセンジャー変異
がん細胞には多くの遺伝子変異が見つかるが、そのうち、がん化を直接促進しているわけではない変異
アポトーシス(細胞死)に関して
CagA が Hippo 経路を変化させることで、DNAが損傷した細胞でも死なずに生き残る
Hit-and-Run gastric carcinogenesis(ヒット・アンド・ラン型胃発がん)
ピロリ菌のCagAが胃の細胞に遺伝子変異などを生じさせ、その後CagAの作用がなくなっても、変異を獲得した細胞が自律的に増殖して胃がんへ進んでいく仕組み
BRCAness(BRCA様性)
BRCA1/BRCA2に異常がある場合と似て、DNAを正確に修復する能力が低下した状態。CagA によって BRCAness が生じると、DNAの二本鎖切断(DSB)という、DNAの2本の鎖が両方とも切れる重大な損傷が生じやすくなる。通常、このような強いDNA損傷を受けた細胞は、異常な細胞を残さないためにアポトーシス(細胞死)などによって排除される
ウェスタンブロット(Western blot)
細胞や組織の中にある特定のタンパク質を検出し、その量や大きさを調べる実験方法。「+」=その条件あり、「-」=その条件なし。Control:BRCA1を導入していない対照、WT(wild type):通常のBRCA1を導入、SA:S616のセリンをアラニンに置換したBRCA1を導入
アッセイ(assay)
測定法、検査法、分析法という意味。~法
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